学んだ内容を効率的に記憶する「Active Recall」

中堅社員かつ小さな子供を持つ私は、正直、ほとんど時間がありません。

そんな中でもインプット(もちろんアウトプットも)が求められるので、「いかに効率的に学んだことを定着させるか」ということが日々の課題でもあります。

そこで私が活用している「Active Recall(Retrieval)」という考え方についてご紹介したいと思います。

この手法は認知心理学に基づく手法であり、実際に私がやってみて効果を実感しているものでもあるので、ご興味のある方は参考にしていただければ嬉しいです。

一個人が調べた内容なので、間違いなどあればご指摘いただければ幸いですm(_ _)m

目次

人間はすぐに“忘れる”生き物である

「Active Recall」の説明に入る前に、まず大前提として“人間は忘れる動物である”という点について触れたいと思います。

出典:忘却曲線, Wikipedia

おそらくこのグラフ(忘却曲線)は誰しも見たことがあるかと思いますが、人は、学んだことを1時間後には半分以上忘れ、翌日には3割ぐらいしか覚えていないということが分かっています。

「忘れる」ということは誰しもが共通して経験していることなので、感覚的に分かってはいることではありますが、このように具体的な数字で見れば、我々の脳がいかに“忘れん坊さん”であるかが分かります。

記憶のメカニズム

私たちが普段、何かを学び、それを記憶として定着させるためのプロセスは以下のとおりです。

  1. 何かを学ぶと、ワーキングメモリ(=一時的な記憶領域)に保存される
  2. 学んだ内容が、自分にとって重要であったり、特殊なキッカケで学んだりした場合は短期記憶として保存される
  3. 短期記憶を何度も思い出すことによって、長期記憶に保存される

これを見ると分かるとおり、短期記憶を長期記憶へ変換するプロセス、つまり「何度も思い出す」という行為がとても重要だということが分かります。

Active Recall(Retrieval)とは

さて、前置きが長くなりましたが、ここから効率よく長期記憶に定着させる「Active Recall(Retrieval)」の考え方をご紹介します。

Active Recallは、一言でいうと、”自分の記憶から情報を検索して思い出そうとする“ことになります。

私たちの日常で、忘れかけていることを「あれなんだったけな〜」と思い出そうとすることがありますが、あの考え方と同じになります。

ただ、この手法の大きな違いは、“Active”である、つまり「能動的に思い出す」というところにあります。

脳の仕組みを理解したうえで、戦略的に思い出すタイミングを設け、脳に「これは大事な情報なんだな」と思わせて長期記憶に留めさせる。

これがActive Recall(Retrieval)の考え方になります。

Active Recallのタイミング

出典:Curve of Forgetting, University of Waterloo
出典:Curve of Forgetting, University of Waterloo

では、「戦略的に思い出すタイミング」とはいつが良いのか。

これに対する一つの解として、カナダのウォータールー大学が出しているデータを参考にしてみると、以下のようなタイミングになります。

  • (学んでから)24時間以内
  • 7日後
  • 30日後

このタイミングについては、どのデータを参照するかで変わってきます(3日後も再記憶した方が良い等)が、何かと忙しい社会人にとっては、このペースが妥当なラインではないかと思います。

Active Recallの実践方法

Active Recall (Retrieval)の意味とタイミングも分かったところで、次は実践方法です。

ここでのコツは「問題解答形式で思い出す」ということです。

一例として挙げると、新聞を読んで「ここを覚えたいな」と思ったら、それをメモする時に“そのまま記載するのではなく、問題形式でメモする”ということです。

<新聞記事例>
 エビングハウスの忘却曲線によると、人は覚えたことを、1日後には33%しか覚えていない。

<メモ例>
 エビングハウスの忘却曲線で、人は1日後に___%しか覚えていない。

穴埋めにするか、選択形式にするかは好みによるかと思いますが、とにかくこの「問題形式」にしておくことで、あとで復習するときに、より脳に定着しやすくなります。

Active Recallは決して楽な手法ではない

これまで書いてきた内容を読み、「よし、さっそくやってみよう!」と行動に移すのは素晴らしいことですが、事前に知っておいた方が良いことがあります。

それは「Active Recallは楽な手法ではない」ということです。

決まった時間や日に、覚えているかチェックする、つまり学校で言うところの「テスト」を繰り返すことになるので、正直億劫です。しかも、そのテスト問題を自分で作らないといけないのです。

覚えていると思っていることを覚えていないと、「自分はダメだなぁ」と思うことも増えますし、楽なことではないのですが、この”脳に対する負荷“が記憶への定着を助長してくれるという仕組みです。

出鼻をくじくような話ではありますが、このことを知っておくかいないかで、「この面倒な手間が記憶に繋がっているんだ」と思えるか思えないかだけでも、モチベーションが変わると思います。

おわりに

誰しも、「せっかく学んだことであれば、ずっと覚えておきたい」と思うものですよね。

自分にとって都合の悪いことであれば、忘れることは大歓迎なのですが、残念ながら、覚えておきたい有益な情報であっても、この「忘却」という機能が働いてしまいます。

そんな人間の特性を理解し、今回のActive Recall(Retirieval)を活用して「必要な情報のみを記憶に定着」させていきましょう。

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